初めての柳川

先日、鳥栖プレミアムアウトレットから柳川に行きました。

・・・さながら水に浮いた灰色の棺である。

北原白秋「おもひで」

柳川といえば北原白秋の故郷であり、掘割の町水郷柳川、白いなまこ壁にうなぎ、といったあたりが一般に喧伝されているイメージですが、僕にとっては上記の白秋の詩句を扉に掲げた柳川を舞台にした福永武彦の小説「廃市」のイメージが強く刻まれています。大学生の頃に読んで、いつか訪れてみたいと思っていた柳川にやっと行けました。小説はフィクションだから滅びゆく水の古都に仕立てた方が物語になりやすいのだろうが、現実の柳川は廃墟と化しているわけでもないし小説よりもう少し明るい。それに「廃市」に描かれている柳川はほぼ60年前の柳川だ。

「廃市」は大林宣彦監督によって映画化もされ1983年に公開されましたが、当時は市民や行政、観光関係者にこのタイトルが不評で、変えて欲しいと言われたそうです。「廃市」と言われた市民の気持ちもよくわかりますよね。しかし大林によると撮影が終わると「わがふるさとは廃市です」と誇りをもって言われるようになったそうで、彼は柳川市の観光大使に任命されます。

こうしたエピソードのある柳川、また今度は花の季節にゆっくり行きます。

*写真は柳川の沖端周辺です。

0コメント

  • 1000 / 1000